24歳女性の訴訟問題

希望を穿たれた女性の慟哭と共に露見した

2014年8月7日、この日ネットとメディアにとあるニュースが駆け巡った。内容は自分がかつて勤めていた企業がブラック企業であり、それまでに蒙った精神的・肉体的被害を補填してもらうと企業を相手取って、賃金と慰謝料などの合計500万円の支払いを求めた訴訟が行われたとする出来事が起こった。ここまではいつも通りとなさ位番ニュースと企業と被雇用者における問題として取れる。だがこの事件では最も焦点を定めて話をしなければならない点がもう1つある、それはこの企業が先に述べた『若者応援企業』として登録されている企業が提訴されたということだ。

先ほど紹介したように、この制度を利用するためには厚生労働省が定めた条件をクリアしていなければ不用意に求める事は出来ない。もちろん少しぐらい何度を下げてもらおうとしても、企業の質に関係なく条件を引き下げてもらう、というのも出来ない。制度こそ企業と求職者間の差異を減らして少しでも中小企業が人手不足に嘆いている状況改善に、尽力できれば越したことはないとして始めた制度だ。そこに寄せられた期待は企業としても、求職者としても大きなものだった事は目に見えている。そんな希望を裏切るようにして出てきたこのニュースを見たとき、やっぱりこんなものだなぁとする考えに至った人もいるだろう。それは仕方のないことだとしても、この場合の例を無視して話を進めることは出来ないので、若者応援企業として登録されていた企業に就職し、最後に待っていたのは精神病を患ってしまったでは、話にならない。ではもう少しこの話を見ていくことにしよう。

苛烈なパワハラと残業

この事件で焦点になったのは、就職後のやはり労働環境だった。訴えを起こしたのは若者応援企業制度を利用して、とあるIT会社に入社した女性が入社後、そしてその後派遣されることとなる企業で強いられた残業と、その中で強烈なまでのパワハラによって入社して2ヶ月で適応障害を患ってしまったというのだ。どのような労働環境だったのかは詳しく明かされていないものの、研修期間だけで270時間も強いられていたというのだ。それも研修中に取る事の出来た休みの日数については1日だけという、、入社したばかりの新人にこれだけの残業を強制させるというのがどれだけ異常なことなのかというのだけは理解出来る。これについて研修をしていた企業としての見解では『研修は任意の参加であって、強制ではない』というものらしいが、そもそも研修無しで仕事をしろというほうが酷だろう。

女性が求人先の企業において何かしらのスキルを身につけていたかどうかは別としても、研修を受けている時点で業務をこなせるだけの技量を身につけていないのは明白だ、持っているという自負があればそもそも研修などというものはいらない。ならばすべての企業で研修期間なる物が意味を成さなくなるため、出された答えがいかに苦し紛れなのかが理解出来る。

その会社もそうだが、何とか辛い研修期間を抜けた後、派遣された会社ではパワハラにセクハラ、さらに長時間労働などの苦が背中にドット乗ったことで女性の限界はもはやピークに達していた。女性はそれまでに一度就職をしていたので今度こそはと息巻いていた、しかし現実は彼女に対して救済を与えたのではなく、現実には更なる地獄を用意していた。それこそまるでこのように不必要なもののように扱われるような職場に投げ出されたことで、厚生労働省が進める若者応援企業という肩書きを手に入れたブラック企業に対しての反抗を決心した、といったところだろう。

それまでに就職を経験している人からすれば、この制度を利用しての再スタートは慎重になり、少しの労働環境でも耐え凌ごうとする構えが強い、それこそどんなに無理をしてでもこなそうという覚悟を持っていることだろう。そうした気負いに付けこんでの過酷という言葉で表現できないような職場に投げ出され、しかもシステムエンジニアという経験と知識、そして技術が求められる職場で新人が活躍するための状況をいきなり求めるほうが、異常と感じるのは必然だ。

ノルマをこなすことが出来ないために中傷や批判などを呼び起こす、それで仕事をこなして行くことが出来るだろうか。こうした企業の体質を見ているといかに社員というものを使い潰しの道具として見なしているのかが、良く理解出来る。資本であることには間違いない、しかし同時に消耗品であることも忘れてはいけない。こなせないのであれば使い捨てるまで、そう考えている企業の裏はどこにでも存在しているだろう。

当然ながら肩書き撤廃が検討されている

筆者は女性のこうした訴えが全てにおいて事実であるとは肯定しないが、否定もしない。ただあるべき自称として見ているわけだが、企業としても言い分はあるだろう。言うなればこうした問題が噴出した時点で、若者応援企業という名称を語ることで適当に見繕った人材をかき集めて消費して売上を伸ばすことが出来る、そう考えているところが多いといえる。今後この問題がどのように展開して行くのかは気になるところだが、問題は厚生労働省の方にも関わってくる。

この訴訟問題が仮に事実だとするなら、提出された労働環境などのデータが著しく改ざんされていたということだ。このため安易に書かれているだけの情報を信じて制度採用の名を通してしまった厚生労働省としても、今後の対策が要求されてしまう。若者と中小企業とを取り持つために作られた制度のはずが、この中にもやはりブラック企業が存在しているという1つの事実を皮肉にも証明してしまったこととなり、これに対して今後どのように改善して行くべきかが焦点だ。

そして今回の訴訟で被告となった企業における体制に嘘偽りがあるのかどうかを確認した後、若者応援企業というブランドにそぐわないとして除名される事は目に見えている。訴えが出された時点で企業名こそ出ていないが、IT会社としての印象はかなり悪くなったことだろう。業界においても悪影響をもたらしたことは否めないため、この企業の功罪は今後としても全体的にその影響は反映されていくことになる。

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